2012年6月2日,3日 第45回土木計画学研究発表会に東日本大震災に関連する論文を発表しました。
【研究の背景】
弊社では、発災直後から「我々にできることは何か?」という問に対し、「被災状況を詳細に記録するプロジェクト」を立ち上げました。ここで記録した被災状況は今後の安全安心な国土づくりの上で、重要なデータベースになると考えております。今回、成果の一部について、第45回土木計画学発表会にてご報告させていただきました。
【第45回土木計画学研究発表会(6/2~3に京都大学で開催)での発表論文】
◆論文名「東日本大震災における被災企業(製造業)の実態把握と交通インフラ被災の影響分析」
【概要】
東日本大震災の経済被害においては,製造業を中心としたサプライチェーンの崩壊による間接被害が深刻化したことが大きな特徴といえる。本研究では、製造業の各企業における生産被害に着目し、被災内容や生産停止の実態について、インターネットや新聞情報等から調査し、国内約1,300
事業所の被災情報を収集・整理した。企業の所在地や業種、被災内容別に生産停止期間等の分析を行った結果、原材料・部品調達困難が主要因となり生産停止となった事業所は約10%存在し、その生産回復までの期間は約2 ヶ月半であることが明らかとなった。その他、被災要因別・産業別の被災事業所分布やその特性を把握した。また、震災後の道路交通ネットワークの走行水準を一般車プローブデータから把握し、事業所生産復旧との関係について分析した。
◆論文名「東日本大震災における応急復旧活動・被災者支援活動のための長距離移動・輸送の特性把握と問題点に関する一考察」
【概要】
東日本大震災は、震度6弱以上を8県74市町村で観測し、津波浸水被害も6県にわたって発生するなど、広範囲が被災地と化した未曾有の大災害である。従って、応急復旧や被災者救援・支援活動においては,被災地域外から被災地へと遠距離移動(輸送)を余儀なくされた。
本研究では、応急復旧期の人流・物流を、各自治体・行政機関・業界団体等の公表資料から、可能な限り定量的に収集・把握し、県をまたぐ遠距離移動・輸送の特性を分析するとともに、交通インフラの実際の被災状況及び復旧状況について、一般車プローブ走行履歴を分析した上で、応急復旧を進める上での問題・課題を把握したものである。